八楽さんは最後、「私がどうして揺れてるのかはもう言いません。どうしても知りたい方はお隣の肩にでも訊いてください」。
これも、二楽師がもっぱら池袋の時だけ言ってた。
続いてオレンジの羽織で登場の古今亭志ん五師。この羽織はもう、「出目金」用。
この噺のために羽織あつらえたそうで。
私3度目だが、面白いことに過去2回とも彦いち師の芝居だった。
マクラ忘れちゃった。枝平さんのこと話してた気がする。
出目金は、お父さんが縁日の金魚掬いでもらってきたもの。
ただ、目が小さい。息子にそう言われた出目金は早速家出する。
下水から排水溝を通って川に出て、川にある謎の魚が握る寿司屋で腹ごしらえ。
草津温泉に行き、南極に行き、そして戻ってくる。
草津では「どっこいしょ」と「チョイナチョイナ」の唱和。
意外と拍手があったなと驚きの演者。過去聴いた人も多かったのでしょう。
楽しい噺だけど、過去に聴いた際はなんだか腑に落ちないという感想が拭えず。
ところが、ストーリーは変わらないのに、妙にいろいろスムーズになっていた。面白いね。
想像だが、演者(作者)が整合性を取ろうとする努力を一切放棄した瞬間、噺が自立したのではなかろうか。
続いて柳亭こみち師。
あとで白鳥師に、こみちなんかも呼ばれてるわけわからない番組ですって言われてた。
こみちああ見えて結構トシですからね。
でもいつも可愛らしい人。
色々できるこの人も新作派としての顔付けなのであろうか。
こみちと書いてこみちと読みます。
お子さんのうち、上の子は小6で、絶賛反抗期中。宮田陽・昇の漫才に出てくるひろき君か。
ついに初「うぜえ」が出ましたと嬉しそう。
反抗期も可愛いです。
私、東村山市の出身ですけど。
ジャンケンで「最初にグー」を発明したのは、東村山出身の志村けん師匠だったと言われています。
ジャンケンのなかった時代に、お菓子をわけ合ったりするときどう決めたかという噺です。
と振って、「姫君羊羹」。知らない噺。
このワードで検索するといろいろ出てくる。擬古典落語であり、さらに落語にする前は擬古典講談であったようで。
お武家の姉妹が、ちょくちょくいただく羊羹をどう分け合って食べるかという、ただそれだけの噺。
こんなシンプルな発想だけで噺をこしらえるなんてすごいね。作者さんも演者さんもすごい。
太福師匠なら浪曲にもできそう。
いつも羊羹を分け合うたび、喧嘩になる姉妹。
ただ、解決方法はすでに父が教えてくれている。羊羹を切る側と、選ぶ側を分ければ絶対に解決するはず。
そうしてるのに解決せず、喧嘩になる。
姉は妹と違って手先も器用だし、きっちり二等分することができる。羊羹の切れ端もちゃんと分け合っている。
だが妹が切った時、羊羹の切れ端が出なかった。こやつこっそり食べよったな。
姉のアイディア、というかヤケクソで一応解決するのだが、本当に解決したのかどうか?
終盤は、羊羹屋の向かいの菓子店からういろうが届く。
これを姉妹にやらず、母上とばあやが分けあって食べるというだけ。サゲらしいサゲもなく。
そんなシンプルな噺なのに、実に印象深い。
また聴きたい。
羊羹の切れ端におしゃれな名前が与えられていた。なんだっけ。
伊藤夢葉先生はいつものマジックでバカウケ。ちょっと寝たけども。
続いて春風亭百栄師。
先日シブラクで、30分の持ち時間の20分を定番マクラに使っていて、本当にガッカリした。
鈴本や浅草じゃないんだからと。
でも、池袋なら大丈夫だろう。何せ、露出さんを聴いたのもここ。
そう思っていたが。
池袋の新作番組でも、マクラだけだった。残念。
ももちゃん、高座の佇まいが、例の学歴詐称前伊東市長になんとなく似てるのだが。喬太郎師だったら間違いなく自虐ネタにしてるのに。
マクラだけで残念ではあるが、ただ、日本一汚い百栄のあとは割と珍しめのマクラだった。
これは3回目である。池袋では、トリの「マイクパフォーマンス」の前に振ってた。
昔はテレビラジオの落語番組が多かった。今は普通の人は起きてない時間にしかやってない。
昔はちょっとした解説もついていた。
一席終えたあと、落語を熟知したアナウンサーが実に適切な質問を師匠に投げかけ、回答を引き出す。
「子ほめ」について「前座噺」「オウム返し」などの基本ワードをアナが説明するのではなく、師匠の口から引き出す見事な腕。
いっぽう現代はどうか。
我々芸人もいつもピシッとしてるわけでもない。
そしてインタビューアーが、「落語好きで〜す」みたいなキャピキャピした女子アナ。
不勉強でわりと傍若無人なアナが、一席終えた春風亭百栄師匠を言葉の刃でグサグサ傷つける。
名前の紹介からして、はるかぜ亭ひゃくえい師匠だし。そして、毎回メモを見ないと名前が出ない。
子ほめのオウム返しは面白かったですけど、あそこ以外面白くなかったのはあそこを盛り上げるためにわざとですよね?と女子アナ。
しかし、心当たる実在の女子アナが二三いるのがなんとも。
不満も覚えつつ、ネタは楽しいものでした。
また、女子アナ自体がオウム返しの失敗になってるのがメタ感満載で上手いつくり。