五街道雲助独演会@横浜にぎわい座(上・忙しい雲助師匠)

予定になかったのだが、夜出かけることにする。
出かけなかったら、今日もブログは休んでますね。
ちなみに、明日水曜の新宿ハイジアで、玉川太福師匠の浪曲を聴こうかなんて思ってました。
柳家喬太郎師主任の新宿末広亭をはじめ、いろいろあって目移りした。
結局、五街道雲助師の独演会を聴きに、横浜にぎわい座へ。

当日券があり、3,200円と比較的安い。
雲助師が名人であることはなんら疑っていない。国宝でなかったとしても、当代随一の名人だ。
なのだが、国宝ブームが去ってみると人気のほうは噺家トップクラスではなく、その下である。
でも、そこがいいなんて思うのだな。
むしろ、人気の頂点に君臨する噺家以外を人間国宝に選んだ、その文化庁のセンスが見事なのでは。
そして雲助師は、人さまから認められたいなんてギラギラした気持ちではやってこなかったらしい人。
むしろこのぐらいの人気を好んでいそうな気がする。

先日喬太郎師のヒザ前で出したスタンダード演目の「町内の若い衆」も本当にいい味で。
その割にほとんど何も書いてないのだけど。

ネタ出し演目は火事息子。

桃太郎 市助
お見立て 雲助
(仲入り)
火事息子(ネタ出し) 雲助

前座は、見たことある気もする人だが誰だっけ。
名乗らないのでわからない。
終演後、演目見てようやくわかった。柳亭市助さん。
座間で聴いたことがある。上手いと思ったが、寝てしまって。

私は3歳の子供がいますというマクラから。
前座なのに結婚してるんだ。珍しい人だ。特に30までに入門しなきゃいけない落語協会では珍しい。
家で稽古してると、子供がなんでも覚えちゃう。寿限無や金明竹、たらちねなど言い立て系は何でも。
なんとがまの油も。
そして子供のほうが上手いから癪だ。
奥さんには、家で稽古しないでと言われる。噺家は家に二人いらない。

懲役ごっこから、桃太郎。
実に上手いのだが、そんなに面白くはない。まあ、いるタイプ。
面白くないのは、間がたっぷりで、前座の身の丈に合ってないから。
一巡目、ちゃんとした桃太郎のストーリーを語る際は、ちょいとダレる。
ただ将来のスケール感は大きい。
間がたっぷりある人は「ウケたい病」に掛かっていることもあるが、この人は大丈夫そう。

出囃子、箱根八里が鳴って雲助師登場。
寄席では雲助師は自分のマクラを語らない。二人会でも語るかわからない。
独演会に来ないとなかなか聴けない。

いよいよ12月でございます。極月なんて申しまして。
この歳になりますと、1年はアッという間です。ついこないだ喜寿になったと思ったら、もう1年です。
きじゅかなかったなあと(ダジャレ)。

昔まだ還暦を超えたぐらいの頃に、同世代の仲間たちと楽屋で喋ってました。
いやあ、1年経つの早いね。びっくりするぐらいだね。
そしたら、亡くなったさん助師匠があなたがた、と。
もっと上になったらね、もう笑うよ。
なるほど、確かに笑いますね。

正月は10日までが初席で。それから20日までが二之席です。
初席は、出てきて3分から5分ぐらいしか喋りません。でもなんでしょうね、やたらくたびれます。
毎年初席が終わって、ようやく落ち着く感じです。
ところが今年は、新宿の二之席のトリに入ってます。これ、私聞いた覚えがないんです。
気づいたら入ってまして。今さら断れませんし。
そして毎年、浅草で1月下席のトリに入ってます。
全然休めません。
若いうちだと、3席連続トリなんてのも平気でしたけども。
落語協会を脱退した圓生師匠が、全国を回ってまして。
忙しすぎたんでしょう。千葉で亡くなりまして。
この時圓生師匠、79歳でした。
今私が77歳。
私、長生きできるかどうか。
そんな暗いマクラから始まりました今日の独演会でございます。

廓噺というものは、あまり出なくなりまして。
それでもべらぼうでちょっと話題になっています。もうべらぼうも終わりだそうで。
最初に女の尻が4つ出たときはたまげましたけども。
べらぼうも視聴率がだんだん落ちてきたそうで。三平とたい平が出たからじゃないかともっぱらの評判で。
…私が言ったわけじゃないですよ。

花魁の、客の誉めかたから。
黒い顔には、「汚れが目立たなくっていいわね」。
いよいよ誉めようがないときは、「まあ様子がいい」。
いつものマクラであり、客は笑ってない。
でも、やたら楽しいのである。一体なんでしょうね。

杢兵衛大尽が人を呼んでいる。応じる喜助。
一席めはお見立て。羽織を脱がず語る。

続きます。

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