瀧川鯉昇独演会@梶原いろは亭その1 (「期待してはいけない」)

梶原いろは亭でもって、「昔昔亭桃太郎・瀧川鯉昇二人会」があるのを遅ればせながら発見。早速予約する。
桃太郎師も久々だ。
と思ったら、桃太郎師の体調不良でもって、瀧川鯉昇独演会になってしまった。
まあいい。鯉昇師のファンだもん。
これが、「昔昔A太郎・瀧川鯉八二人会」に変わるというなら行かないが。

日曜なのにつ離れそこそこ。
桃ちゃんの不在でキャンセルした人が多かったのか。
だが鯉昇師の熱演でした。2時間半。
師のマクラをこれだけたっぷり聴いたこともなかった。
そして隠れた楽しみは、前座の夢ひろさん。

兄弟子の話、肩こり、人間ドック、胃薬、準備し過ぎは良くない 鯉昇
蕎麦処ベートーベン 鯉昇
時制と干支、終わったと言ったら終わり 鯉昇
千早ふるモンゴル編 鯉昇
(仲入り)
道灌 夢ひろ
拘置所の桃太郎 鯉昇
噺の改変やケチ、シルバーパス 鯉昇
味噌蔵 鯉昇

 

鯉昇師が7席やったわけではない。
3席なのだけど、それぞれたっぷりマクラがついていた。小噺も。
忘れちゃうので、独立させておいたしだい。
「拘置所の桃太郎」は独立した新作だと思ったのだ。小噺だったけど。
タイトルは私がつけたものです。ちなみに、この小噺にさらにマクラもあったが、もはや収拾がつかない。
これも独立させないと忘れるので。
今日のブログは記憶散逸との戦いである。
桃ちゃんに関する話題も、前後半それぞれあった。
鯉昇師が、本当に準備しないで出していることがよくわかる。

いきなり鯉昇師登場。冒頭沈黙。
今日はちょっとあったかいですが、こんなときには体調崩すこともあります。
兄弟子の桃ちゃんに関するフリだった。ただ、桃ちゃんの名はしばらく出てこない。

噺家さん、フリートークに近いマクラを出すこともある。
もちろんまったくのフリーではなく、たくさんある小ネタを組み合わせていくことで、持ち時間はいくらでも埋まる。
ただ、「あの話したかったのに忘れちゃった」ということはしばしばあるのだろうな。
話漏れを防ぐためには、最終的にたどり着きたいテーマを先出ししていくわけだ。
私はそう想像している。
そして、あとはたぶんアドリブ。バラバラの話は自然とつながっていく。
今日の鯉昇師の場合、つなぐネタは「体調」であり、「昔話」
である。特に兄弟子と同じ名前の昔話であり、古典落語の桃太郎。
鯉昇師から「桃太郎」に関する話は聴いたことがない。だからこそ、隠れテーマとしての兄弟子の話題がうかがえるのだ。
ちなみに高座で兄弟子の話を聴いたこともない。
エッセイではちゃんと触れられている。

文部科学省の方針で、10歳になるまでに古典芸能に触れさせようとなっています。
東京では能狂言もあるんですが、地方ではなかなか人材がいません。
私の同級生が浜松の山奥、愛知県境に近い「松平郷」という郷がつく集落で校長を務めていました。
そこで生徒たちに三味線を聴かせたいということで、知り合いの芸者さんに声を掛けました。
芸者を小学校に上げたというので、この試みは一度で終わってしまいました。

人間、ストレスが大敵だそうで。
人と一緒にいるだけでもストレスにはなるそうですよ。
体の、人のいる側が不調になるそうです。
夜奥さんと一緒に寝ている人は、奥さんのいる側が不調になるそうです。
楽屋でこんな噺をしたら盛り上がりました。
米丸師匠に、奥さんと寝てますかと訊いたら、きみ失敬じゃないかと言われました。

もう30年前ですが、モルモットになったことがあります。
病院の機器が最新になったというので2泊3日の人間ドックに入り、その後落語会の前半で体験記を話すということになりました。
上から下まで全部診てもらいました。
その病院からまた誘いがありました。大変だったからもうイヤだと言いましたら、今は半日で終わるそうで。

それならということで受けに行きました。
本当に3時間で終わりまして。
その後食事まであります。お銚子はつかなかったんですが。
食べてる間にもう、医者から呼び出しがありました。
事前に楽屋仲間に脅されていました。脳みそが空っぽだと、レントゲンに裏庭が映るらしいよ。
幸い、うっすらとしか映っていなかったので、あと1年ぐらいは大丈夫でしょう。

桃太郎アニさんは、今日の会すごく楽しみにしてたそうです。
直接そうも聞きました。
ですが、期待しすぎるのもストレスになるんです。
今日体調不良というのはそうなんでしょう。
真打昇進もストレスになります。
私の真打昇進時、おじさんが製薬会社勤務でして、胃薬の差し入れをいただきました。
楽屋にどうぞと置いておいたら、200包あったのが3日間でなくなりまして。
この商売、意外と胃を悪くするんだなと思いました。
慌てて追加をお願いし、二芝居持ちました。

期待しすぎると良くないんですね。
私が出ている浜松の落語会にある年、記念の周年なので予算を取って、師匠柳昇を呼ぶことになりました。
ワイヤレスマイクを付けてやる会です。
主催者すごく気合い入りまして。粗相があっちゃいけないので午前中からマイクテストを繰り返しまして。
芸人が次々出まして、そして柳昇が出たときに電池が切れるという。

ここから教訓です。
人間、期待しすぎて頑張るとロクなことがありません。
私は今年になって、一切がんばらないことにしています。
お客さんも、期待なんかしちゃいけません。期待したところで大した違いはないんです。

続きます。
M-1ネタが挟まるかもしれませんし、挟まらないかもしれません。

コメントする

失礼のないコメントでメールアドレスが本物なら承認しています。