池之端しのぶ亭初席(中・三遊亭好楽「つる」)

寄席というか好楽一門の宴会場というか、部屋は床暖房完備であったかい。
ただし熱気ムンムンなので、好一郎師も換気をお願いしていた。

池之端しのぶ亭のオーナー、というか住人の好楽師登場。お客大喜び。

毎年やってるこの初席ですけども。
いろいろ変わったゲストを呼んでまして、喜ばれました。ナイツに来てもらったり。
今はうちの一門で回してます。

最近やってるマクラに入る。

笑点のイメージはどうしても強いですね。
小遊三の落語を聴きにいった人が、

「小遊三全然面白くねえじゃねえか」
「なんで」
「全然スケベなこと言わねえんだよ」

私も言われまして。

「好楽の落語って、下手とかつまらないとか間違えるとか言われるけどさ」
「どうだった」
「上手いの。びっくりしちゃった」

まあ、これは私が作ったんですが。
落語には横丁の隠居が出てきましてね。
この横丁ってのがいいですね。表通りだったら訪ねていきづらいでしょ。裏にいる隠居は訪ねやすいんですね。

円楽党や、夏の芸協などに好楽師を聴きにいっても、当然トリでもって大ネタばかり。
八っつぁんとご隠居の噺が始まってなんだか新鮮だ。
正月だし軽い噺大歓迎。

まんまお上がりから床屋の隠居に関する噂話、泥棒なら3年前にやめたまでするする進む。実にいい気持ち。
八っつぁんが隠居に、お茶を淹れるの面倒でしょ、といったん断っているのは意外と珍しい。婆さんが出てこない。
おかみさんを亡くした好楽師の心境が反映されていると見るのはうがち過ぎであろうか。
まあ、八っつぁんのほうはヒヤでいいから酒を出してくれればというのが本音なのだけど。

粗茶から粗座布団、粗はげ頭まで進んでも、人間関係に表面的な対立すらないところがたまらない。
床屋には鶴の絵が掛かっていた。その話題からなぜ鶴が日本の名鳥なのかの話題に。

つるだった。
好楽師のつる、テレビの短い時間でさらっとやったものは聴いたことがあったが、それは本当に短いもの。
道灌や一目上がりにも進める共通部分からつるに進むのは、見ることは見るがもともと決して多くない印象。
ただし、隠居の書画骨董の趣味には進んでいない。隠居が床屋と懇意にしていることで、この趣味をしっかり描いている。
橘家圓太郎師(同じ林家の出)のつるは、隠居の書画コレクションに鶴の絵があるのでだいぶ違うし。
隠居は別に八っつぁんに呆れたり怒ったりは一切していないので、純粋ないたずら心として首長鳥がつるになったいわれを教えてやる。
こういうのが好き。
お前さんだけにこっそり教えてやるんだよと断ってるのにどこかでやってきた八っつぁんに、ちゃんともう一度教えてやってるし。

八っつぁん、床屋で話せばいいがそれじゃ一度に広まってしまう。なので一人ずつ攻めようと桶屋の辰っちゃんの家へ。
床屋でみんなに話すんじゃだめ、というのはきっと好楽師自身の疑問なんだろう。
噺のご都合主義に対する疑問があるときは、さりげなく解消するのが一番いい。

つるのいわれを話したくて仕方のない八っつぁんが、しばらく桶屋の仕事を眺めているのが面白い。
タガを嵌めて、叩いてと。
地味に職人の仕事が浮かび上がってくるではないか。

忙しい辰ちゃんに勝手につるのいわれを話しだす八っつぁん。もろこし、を物干しと間違えるんだったか。
最初はオスがつるーと飛んでくる。二度目は松の枝にると止まる。

たまらない前座噺であった。
地味な創作の工夫が素晴らしい。
とっておきの工夫を、さも昔から誰かがやってるように語ってしまうところ、人間国宝・五街道雲助師と共通項を感じる。
意外とこんな人は少ないもので。

仲入り休憩時は、熱気がこもっているのでまず雨戸を開放する。
ぽん太さん、好青年さんが働いていた。
それからお酒の販売。濁り酒のカップが1本500円。お酒を飲むと落語がますます面白くなりますだって。
私は前日二日酔いだったので、やめておいた。
それから子供さんにはお菓子を配る。終演後は「好楽からです」って千社札も配っていた。

再び雨戸を閉じて、再開。
続きます。

コメントする

失礼のないコメントでメールアドレスが本物なら承認しています。