昨日は立川幸路さんの批判記事になったが、トリの一席がちゃんとしてたのであそこまで書けたのではある。
さもないと最悪、「私は誰でしょう」入りしてた可能性もある。つまり、名前が出なかった。
まあ、改めて思い出しても一席めについてはやっぱりよくないマクラと猫の皿だった。
声の出し方は女流でもワーストだし、そして残念なことになんでもないところでよく言いよどむ。普通に滑舌よくないシーンもあり。
マクラで私バカなんですと急に言われても、そこに共感もなく。
前座時代、ウケなどいいから普通に喋れるようになるための修業は、よくわかる。でも、そうなっていない。
普通にちゃんとできてないところに、可風師の「ふーふー」とか「くちゅくちゅぺ」のかなり高度なクスグリはキツい。
先日、馬車道で聴いた桃花師匠の、いまだに前に出すぎなやり方はどうなんだろうと思ったのだけども、少なくとも彼女は前座時代からずっと客との共感は大事にしてたなと思う。共感のためにときに悪態も使い。
廃業した林家扇さんなどちっとも好きじゃなかったが、それでも彼女も闘っていたなと思い出す。
そういえばいきなり吉原あさひに代わった元の杏寿さん、彼女の落語は支持しているのだが、今日の鷹治さんに関する記事を読んでいただければ、評価の理由がおわかりいただけるかもしれない。
幸路さんは、白鳥師が修業中にやった「録音」をしたらどうでしょう。
ハケるときに拍手がなかったのが、高座の完成度を語っている。
さてこの会場、携帯は鳴るわ、私語をするババアはいるわ(音楽ホールなので響く)、客の質はイマイチ。
困ったもんだが、まだ歴史が浅いのだろう。
スマホ鳴らしについてはまた書くことができたので、そのうち。
ただ、携帯鳴ったこの席のことを、まるっきり悪い記憶として持って帰って絶望しなきゃいけない義理など私にはまるでない。それは言わせてもらう。
そういえば昨日はここ瀬谷のことを間違って瀬田と書いてしまいました。すみません。
お目当ての桂鷹治さん登場。
いいお天気の日にこんな薄暗いところにお集まりいただきまして。ありがとうございます。
今日は旅の噺ということで。普段は同じ系統の噺はやらないんですが、あえて特集にするわけで。
それはいいんですが、困ったことに幸路さんに、旅のマクラ全部言われてしまいました。
なので普通に自己紹介を。
草津温泉落語を出したかったのか。
愛知県の岡崎出身です。大学は岐阜です。
岐阜はみなさんご存じないですよね。山の中です。
私は弁護士になりたくて勉強してました。親も将来安泰だとお金を出してくれました。
私は落語者になってしまいました。
同期は法曹界にたくさん進みました。私はまあ、NHKやTBSにお世話になってますので放送界にはいます。
鷹治という名前です。師匠は11代目桂文治です。
うちの一門は、前座のときは本名から一時持ってきます。
私は高木ですので、前座のときはひらがなでたか治でした。
二ツ目に昇進するとき、漢字にしようとなりましたが、高治ではこうじと呼ばれてしまいます。
なのでこの、鷹の字を持ってきました。
この字、画数がやたら多いんですよ。日本一多いです。
今回はメクリ、名ビラを地元の寄席文字を書く方が書いてくださってます。
橘流の寄席文字を書く方にいつも言われるんですが、書きづらいと。変えてくれっていわれてます。
二ツ目になって親に報告しました。
「鷹治になったよ!」
「検事か判事になって欲しかった」
まだ恨まれてます。
そろそろ真打が見えてくることになりました。
鷹治さんの定番マクラ。
こういうものは、繰り返し話してるとすらすら出てくるがゆえに、今度は魂を失ってしまったりして。
だが、何度聴いても楽しい。聴きながらこれについて考えていた。
私は、落語における「棒読み」効果を高く評価するものである。
鷹治さんも、マクラにおける高度な棒読み使いと理解していたし、現に昨年聴いた「青菜」では棒読みの積極的活用を激賞している。
だがちょっと今回、また違うことを連想した。
鷹治さんの、棒読みの手法を使った、グルーヴ感満載の語りについて。
語りにアクセントを付けないのは、客の余計な感情を開かないため。
しかしそれでいながら、「アクセントを付けない」区切りの中においては、ずいぶん動き回る。
これは!
ボサノバの名曲、ワン・ノート・サンバではないか!
個人的に大発見。
ワン・ノート・サンバは主旋律において、1音だけ使ってささやくように歌い上げる名曲。
棒読みの超進化系なのだった。
「棒読みの落語だ。ダメだ」
なんて書き込みは、ネットの上にはあまたある。
気軽にこういう人は、芝居みたいなセリフだけがいいものだと思ってるのかもしれない。
ただ、芝居みたいなセリフを入れようと頑張って、そして演技がヘタなゆえに爆死する噺家は引きも切らない。
私は、もっともっと棒読みを推奨していきたいと思うのです。
鷹治さんなど、サンプルとしてわかりやすいんじゃないか。少なくとも、意図的にやってる喋りであることはよくわかる人だ。
本編、宿屋の仇討に続きます。