みずき寄席扇辰喬太郎 その2(入船亭扇辰「麻のれん」)

フライング気味にひと記事出した、扇辰・喬太郎二人会の続きです。

ひとつ思い出した。
ぐんまさんが「みなさんはぐんまちゃん知らないですよね」と言う。こちらは、ぐんまちゃんは誰でも知ってるだろうと思いながら聴く。
知らない人のために。私、実は今日、ぐんまちゃんのステテコ履いてるんですよ。
と、立ち上がってまくってぐんまちゃんのデザインのステテコを見せる。
尾籠なものをお見せしました。

昨年聴いたときは、王(県そのもの)に報告する際に挟んでいたジングルが違っていた。詳しいことは忘れたけど。
今は、「ぐんぐんぐんぐん」。これを振ってから王にいろいろ申し上げる。

茨城が急に魅力度ランキングの順位を上げ、40位の群馬のふたつ下まで迫ってきた。
そこに栃木がやってきて、手を組んで茨城を倒しましょうと。
この栃木が、やたらとなまるようになっていた。
群馬の有名人、中山秀征と井森美幸、そして栃木の有名人、U字工事にザ・たっちとニックスで、磯山さやかしかいない茨城に戦いを挑む。
しかし、有名人に負けた。水戸黄門。

日光東照宮と富岡製糸場という、世界遺産を武器に戦いを挑むが、めんたいパークに負けてしまう。
魚卵と辛味のミックスは、ベイシアとカインズモールが合体したようなものだ。
前回の黒門亭でも、このたとえ「意外とウケた」と語っていたが、今回もわりと反応よし。
ちなみに、先日横浜でこの噺やったそうな。前列のおばちゃんが「群馬頑張れ!」って応援してくれたらしい。

アホな噺はどんどん拡大していく。そして、寄席サイズのサゲで終わらず、さらに先へ。
結局、北関東3県は連合して、真の敵、千葉と埼玉に戦いを挑むのだった。
派手すぎる開口一番ではあった。

続いて扇辰師。
気が付いたら前回聴いてから9か月経っている。アッという間に空くものである。その際も、盲人の噺「心眼」だった。
ぐんまさんが過熱させた会場の空気を、静かな、しかし気を持たせる語りでゆっくりクールダウンさせていく。
やっとまともなのが出てきました。
私、この会の番組を誰が作ったのかとか、一切知りません。ただね、もっとましなのがいたんじゃないの?
まあ、元気でいいやね。

こちらは初めて寄せていただきました。喬太郎さんとの二人会です。
喬太郎さんは小さい頃なのかな、横浜の港北区に引っ越して育ちまして。だからこちら地元なんですね。
今日は満員だそうで。
私は新潟の長岡ってところです。ありがたいことにね、地元で会をすると、満員になるんだよ。
…その反応はどういうことでしょうか。なっちゃいけないでしょうか。
まあ、こんなこと言ってたらぐんまと変わらないやね。
では一席務めさせていただきます。そんなに長くはやりません。歌ったりしませんし。

本編は、女中お清を呼ぶ旦那の声から始まる。
麻のれん。季節ものだ。
扇辰師の麻のれんは私三度目だけど、この噺は何度聴いてもいい。
この、按摩の杢市が好きで好きで。頑固なのだけどひねくれてはいない。
見えない目に頼らず人生をアグレッシブに生きている。そしてお酒が大好き。

完全なる滑稽噺の骨格なのだけども、根底に人情が溢れているところも好き。これは扇辰師ならではか。
前回は3年前、「大吉原落語会」というところで聴いた。
ちなみに一度目を聴いたのは、ブログ始める前の池袋である。

もみ療治を済ませた後で旦那、按摩の杢市に、女房が不在で送っていけないから、泊まっておいきと。今夜は真っ暗だよ。
杢市、いえ帰らせていただきます。提灯だけ用意してください。
お前さんたちでも、提灯があると手元がなんとなく明るいのかい。
いえ、目明きどもがぶつかってきますからね。目明き除けです。
こないだ提灯ぶらさげてるのにぶつかってこられまして、「どこに目付けてんだ!」と申し上げたら、「按摩さんかい。そりゃダメだ。提灯が消えてるよ」なんて言われまして。

よくよく聞くと、この暑い折、杢市は井戸に吊るしておいた直しを飲みたいのだ。
なんだ直しならうちにもあるよ。上方からもらったものだ。
というわけで、泊まることになる。
「直し」は青菜とこの噺に出てくる、焼酎とみりんを割ったもの。柳陰。冷やすと旨いらしい。
一度飲んでみなきゃいけない。

せっかく泊まってもらうのに、大したもてなしもできないが、枝豆がある。杢市も好物。
あたしゃ枝豆には目がないんです。
もともとお前さんには目はないじゃないか。ちょっとだけ、ある種スリリングな旦那のセリフ。
そして直しは大変上等。

杢市の前には茶碗が置かれ、枝豆が置かれる。女中のお清が声を掛けると杢市、器用にそれぞれ口を付けていく。
茶碗に注いでもらった直しに、指を入れて量を測る意地汚い飲み方。でも楽しそうで、嫌な気にはならない。
枝豆に、嬉しそうにむしゃぶりつく杢市。
ここをいい感じに描けないと、もうこの噺はダメじゃないでしょうかね。

杢市は、八畳の間に案内などいらないと言う。風の通り抜けで、この家の間取りは全部知ってるんですよ。
旦那の書斎に金庫があって、開けかたまで知ってる。
穏やかじゃないね。
冗談ですよ。

なので女中を先に下がらせ、旦那も先に床につき、杢市はひとりで八畳の間へ。

入口の麻の大きなのれんは、床についている。だから蚊帳と間違える。
この部分の説明が、もちろん過剰ではないのだが、過去聴いた中で最もわかりやすかった。
蚊帳を通り抜けたつもりで、のれんと蚊帳の手前に挟まれ、蚊にくわれて一夜を過ごす杢市。

かわいそうなのだけど、杢市も(ちょっとだけ)意地っ張り。
自業自得だとまではいかない、楽しいスケッチを見せてもらいました。

喬太郎師に続きます

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