遊々師、富山の講演で出したとっておきのネタは、森喜朗小噺(Who are you?)。
しかし、マクラ小噺の古典を作ったという点では森元首相も貢献しているね。
本編は阿弥陀池。
しのばず寄席で師匠不倫マクラを振った際に出していたのを思い出した。その際も、ずいぶんいいじゃないかと思った演目だ。
その際は、釈台を叩いていた。別に、なくても問題ないんだ。
らくごカフェには、釈台ぐらいもちろんあるのだけど。
当時、架空の殺人現場において「心の臓をブスっと刺す」シーンに小拍子を入れていたなといきなり思い出す。
見台出してない今回は、床を左手で叩いていた。
阿弥陀池という噺、架空の強盗殺人を描くわけで、下手にやると客に不快感が湧く。
まったくそんなことはなく、軽快でグルーヴィ。
隠居(甚兵衛さんか)が、おもろいやろ、とネタ噺をさも楽しそうに喜六に披露する。
こういうことをすると、落語は急に崩れしてしまうものなのに、優々師は全然大丈夫だから不思議。
「タイを交わす」「心のゾウ」の回りくどさが実に自然だった。
続いて雷門小助六師。本日の目当て。
お足元の悪い中ありがとうございます。ぜひ笑ってください。切実なお願いです。
小助六師と三三師の共通点は、子供の頃からの落語マニアだということ。真っ先にこれを連想した。
で小助六師も、本当にその話をする。
小学4年の頃、たまたまテレビで落語が流れていて、面白いんで一生懸命観てたんですね。
そしたら、祖母が言うんです。落語わかるの? すごいね、頭いいんだね。
それで、落語を聴くと頭いいと言われるんだと思って、好きになってしまいました。それ以来、テレビラジオで追いかけるようになって。
こうなってしまいました。
三三師匠とは協会が違うので、それほどの接点は正直ありません。ですが、私子供の頃浅草で三三師匠の高座を聴いてるんですよ。
二ツ目に成りたてでした。この人上手いなと。
子供ですからね。そんな感想を持ったわけです。
落語好きな子供なんて、友達いないわけですよ。
だから楽屋入りした後は楽しかったですね。落語好きな仲間がいて。
あの頃がいちばん落語好きでした。今は半分仕事なんで。すみません、半分でなくて仕事ですけど。
今でも、一緒に修業した仲間6人ぐらいと年1回旅行に行くんですよ。行先は長野です。
私の父の生家があって、今は空き家なんですけど、そこを別荘として使っているわけです。
いつも泊まるところは一緒なので、事前に寄りたいところをアンケート取ります。
数年前、私が行きたいところがあったんです。佐久にある「ぴんころ地蔵」という場所です。
ここをお参りしていたのが橘ノ圓師匠で。圓師匠、実際に亡くなるまでぴんぴんしていて、コロッと逝かれたんですね。ご利益あるなと思って。
仲間に話したら、そうか、圓師匠にもお世話になったことだし、ぜひ行ってみようと言ってくれて。
行ってみたら、わりと新しいところでしたね。町おこしでやってるみたいです。なので知名度ないんだなと。
楽屋で話しましたら、瀧川鯉昇師匠だけご存じでした。ああー、それ、知ってる(所作入りモノマネ。よく似てる)。
その後渋温泉に寄りまして。
外湯が有名ですが、宿泊客でない人の入れる温泉は一箇所しかありません。行ってみたら湯がものすごく熱くて。
銭湯大好きの後輩、三笑亭夢丸さんによると、45度以上ありそうだと。
水道があって埋められるんですけども、ヌシみたいな人が怖い顔で睨んでて。あ、こういう人本当にいるんだ。
一番先輩の瀧川鯉橋アニさんが、湯も熱い、外も暑いで調子悪くなっちゃいまして。
そば屋に避難しました。
いつもは人がソフトドリンク飲んでると冷やかす人が、コーラ頼んでました。
鯉橋、小助六、夢丸3人は「なかよしおじさんズ」というユニットを組んでいて、私も梶原いろは亭でたまに参加している。
実に仲がよさそうで、当然トークも楽しい。
マクラからも、噺家仲間の信頼が漂ってきて、先代小さんの古典落語を聴くような気持になる。
他の長野行メンバーとしては、笑福亭里光師の名前も挙がっていた。
小助六師のマクラは、その場でアドリブで喋るのではなくてきちんと練って、作品として出してくる。
そしてじっくり語る。意外と珍しいスタイル。
カチッとしてるのかと思うと遊び心も豊富で。
そしておそらく小助六師は、「カチッと語れる自分」を楽しんでいる。だからかっちりしているのに緩い。
落語マニアの子供の話は楽しい。
私も中学生の頃、そこそこテレビラジオの落語にハマった。
現場には行かなかったけど。
まあ、私は間違って楽屋入りした日には、しくじりの連続で速攻クビになってる気がする。
本編は、なんと「掛川の宿」であった。旅のマクラからつながっている。
これは笑福亭鶴光師に教わったのだろう。甚五郎ものの浪曲ネタ。
現場では、鶴光師の弟子の希光さんからだけ聴いたことがある。
小助六師の掛川の宿はもう、絶品でした。
マクラと同じ、対象からワンクッション置いて語るやり方がピタッとハマる。
そして地噺なので、本筋から離れたギャグを入れていくが、その入れ方もわざとらしくなく、実に自然。
Xで小助六師自身がつぶやいていたところによると、三三師から「どんな変わった噺出すの?」と言われてこれにしたようである。
私は、小助六師を最初に珍品派として認識した。
その後スタンダードな演目が絶品であることも知った。そしてやっぱり、珍品にすごいものがある。
続きます。