七代目円楽は楽生が襲名へ 六代目追悼落語会で好楽が指名「一番、この人がふさわしい」（サンスポ）
「七代目円楽」検索訪問の非常に多い、でっち定吉ブログです。
襲名についてまた新しい報道。といっても、夏にスポニチのインタビューを受けた内容と基本同じである。
六代目圓楽（ご本人はもっぱら円楽と名乗っていた）の追悼落語会後に、好楽師が断言したという。
惣領弟子の楽生師に継げと。
「圓楽」は円楽党の看板の名前。
その点だけは気になるのだが、しかし楽生師が継ぐことに反対など起きようがない。
権利を持っているのは遺族（未亡人と、偽落語家の一太郎）であり、そこさえ押さえておけば他人が口出しできるものではない。
だから三回忌のあとで間違いなく実現するでしょう。襲名披露興行も大々的に催される。
もしかすると、芸協の寄席でも。
「楽生は声の豊かさと強弱のある高座が特徴で、本格的な古典落語が得意」
とある。
私が過去聴いた限りでは、前半はそのとおりだが、「本格的な古典落語」の印象はないな。
むしろ円楽党の中でもキワモノっぽい人。本格志向も持っているとは思うけど。
私には、報道の背景のほうが気になる。
このところ好楽師が名跡につき、やたらとスポークスマン発言を積極的にしていること。徹底したマスコミ戦略があるもよう。
故人の息子（血がつながったという意味ではなく）に、伯父さんが名を告げと語り、俺が取り仕切ってやると言っているわけだ。
とはいえ好楽師、本来圓楽の名前については部外者、とは言わないが関係者程度である。自分の師匠の名前であるにせよ、権利があるわけではない。
それにしちゃ出しゃばりすぎじゃないか。もはや円楽党の会長でもないのに。
でも、これでいいのだと思う。
好楽がやらねば、誰がやる。
誰かが動かないと、名前が塩漬けになってしまう。そんな例、落語界にも多々ある。
口を開けば誰かが横車を押す。この例が林家九蔵。
理不尽な目にも遭った好楽師だが、根回しに走るよりもどんどんマスコミを焚き付け、既成事実をひとつひとつこしらえていきたいのだろう。
それが人気者ならではの役目と心得ているのだ。
そして円楽党の重鎮、会長圓橘、それから鳳楽の両師も、好楽師に任せっきりなのではないかと。
好楽師は、圓楽の名については落語界における一般的な筋を通した。
息子・王楽に継がせてやろうと暗躍したっていいのであるが、それはしない。
しかし好楽師は圓楽の名より、さらに先を見据えている。
言うまでもないが、圓生を。
好楽師、このところずっと観測気球を上げて、斯界の反応を確かめている。
圓楽は身内の話だからいいとして、圓生ははるかにややこしい。
現に鳳楽師には、横車で圓生を継げなかった苦い思い出がある。
前回打ち上げた気球の反応を読むと、圓生と、さらに大きな名前の圓喬について、ギョーカイの反応は意外と平穏だったのだと思われる。
もう、円丈も圓窓も故人だし、残った一門に口出ししそうな人もいないし。
圓楽を滞りなく継がせ、次に圓生を弟子の兼好に譲るというのが好楽師の目論見。
着々と進行中。
腹の中では、落語協会の古株の中に不満を持つ人がいそう。正蔵師だってわからない。
とはいえ不満はあくまでも組織論にとどまる。どこへ行っても評判のいい兼好師が継ぐことにケチを付けられる人はいない。
圓喬についてはまあ、おまけなんだろうけども。
橘家圓喬。先代は、あの志ん生が敬愛し続けた名人だそうで。
圓喬の名が長く塩漬けされていたのは、「月の家圓鏡」の名跡があったからだけだと思うのだが。当代が現役なのは難点。
ちなみに先に書いた記事では、圓喬を継ぐのは鳳志師が候補ではと推測した。
「本寸法」というワードでだ。
しかし、よく考えたら好楽師が想定しているのは、息子の王楽師かもという気もしてきた。ここで親心発揮。
王楽師も本寸法ではある。それより、華やかな芸の印象だけども。
ちなみに前回書いたときは知らなかったのだが、亡くなった小圓朝師が、圓喬襲名の準備をしていたのだそうで。
小圓朝は圓橘門下である。弟弟子に、萬橘、朝橘がいる。
この一門のほうが、権利としては鳳志（鳳楽門下）よりは近い。ただ、元記事にあった「本寸法」では、どちらもない気がする。
萬橘・朝橘両師とも、その気になれば本寸法の芸はできる人たちだが。
弟子を圓生に、息子を圓喬にというのが、好楽師の戦略？
もっともいざとなれば、息子には好楽を継がせればいいのかもしれない。
ただ、九蔵を継がせられなかった気の毒な好の助師もなんとか処遇したいだろうけど。
