仲入り後再度の扇遊師から。
高市早苗さんが総裁になりましたね。まあ、少数与党でもおそらく総理になるんでしょう。
女性の総理誕生ですね。
女性の政治家といえば…
私、弟子が東洋大学なんですよ(客、爆笑)。
卒業証書は確認したことがありません。学歴不問の業界ですからね。
私は高卒です。
熱海の出ですけど、高校は伊東でして(客、爆笑)。
また呼んでもらうんですけども、なに話していいものか。
話題のネタを、軽めの2席目に残しておく緻密な構成。
本編は厩火事。
テレビで出た師の厩火事は繰り返し聴いている。この点、ねずみと一緒。
しかし現場の厩火事は見事な音楽であって、実に高揚したまま聴いたのであった。
カミシモの早い入れ替えが高い音楽性に貢献していそうだが、といってこれにあざとさはかけらもない。
厩火事の主人公、髪結のお咲さんは、旦那のアドバイスに茶々を入れずにはおれない人。
人情噺の気配も濃厚なこの噺における、唯一のギャグ担当だから仕方ないけども。
ただ音楽として聴いたときに、お咲さんの茶々は、いささか度を超えて映ることもある。
さる旦那、というワードに、やっぱり毛が3本足りないなんて言いますでしょとか。
次に珍客というワードから、狆がお客なんて一人で喜んでいる。
ところで扇遊師の場合、強いアクセントが入っていても、やっぱり音楽なのだということを再発見した。
強いのだけども、やはりするする流れていく。するする流れていくのだけども、しっかりアクセントとして機能している。
なかなかできそうにない語りのテクニック。
協会が違うが、小痴楽師が引き継いでいそうな。
ストーリー的には、最近の一般的な厩火事と同様、ぶらぶらしてる亭主を悪く描きすぎない。
亭主は旦那が不意に訪れた時に、刺身と酒を嗜んでる。旦那がキレたのは酒のほう。
そして亭主の語るサゲに愛がある。これは勝手に感じ取る人と、そうでない人と両方いそうだけども。
まあ、いつもの夫婦のいつものやり取りで終わるのだろう。
破れ鍋に綴じ蓋。
一瞬劇的に映るけども、やはり極めて落語らしい。
トリは再びの蝠丸師。
本当は扇遊アニさんがトリを取るべきなんですけど(香盤的に)、なんだかいい仕事があるみたいで行っちゃいました。私で失礼します。
この後扇遊師に仕事があるかないかは調べてないが、普通に楽屋にいそう。打ち上げも行きそう。
ちなみにスライドショーのため13時30分に始まったこの会、すでに16時である。実にたっぷり。
なのに木戸銭は2,000円とリーズナブルでありがたい。
遠山の金さんの落語というものは、ないんですね。大岡越前はありますけど。
なので講談のほうから持ってきました。
という、よくわからない説明。
本編は「さじ加減」であるが、これまた大岡裁きの一席。
ただギャグで、大岡さまがいったんもろ肌脱ごうとする。部下にお奉行が違いますと止められている。
金さんが出てくるって、これだけだけど?
非常にテキトーな師匠である。テキトー大好き。
さじ加減は日本の話芸に出た際レビューしたが、現場で聴くのは初めて。
テレビよりは遊びが多い。金さんをはじめ。
品川の芸者おなみと、医者の若先生がいかにして巡り合い、契りを交わしたかは全部カット。
いきなり勘当が解けた若先生が、品川の加納屋を訪れ、おなみがどうなったか訊く場面からスタート。
おなみは頭がおかしくなったんで松本屋の座敷牢に閉じ込めてます。若先生、あなたのせいですよ。
責任を感じた若先生、おなみを三両で引き取り、懸命に治療を施すと半年で快方に向かう。
若先生とおなみは、蝠丸師のさじ加減においては遠景に過ぎない。
これは、欲の深い加納屋と、長屋の大家、そして大岡越前守を巡る噺なのであった。
人情噺の骨格を持ったさじ加減を、蝠丸師は完全なる滑稽噺(おふざけ入り)として描くのだった。
若先生が気のふれたおなみを引き取ってくれて助かっていたくせに、治ったと聞いて欲をかく加納屋。
てめえらが証文出してないのを利用して、おなみを取り返そうと悪だくみ。
若先生の長屋にやってきた加納屋の相手を、肝の座った大家が受けることにする。
大家が策を弄し、ボロ茶碗を加納屋に割らせて破談。
舞台は奉行所のお白洲へ。
若先生がお白州で表を上げて、「わー、加藤剛だ」。
このシンプルなギャグがやたら楽しい。様々なスタイルを持つ蝠丸師だが、根本の部分がふざけている。
証文は証拠。早速加納屋の勝ち。
しかし加納屋たちの持ち物に費用を掛けた(事務管理)若先生を勝たせるための策略だ。
電卓を叩いて、加納屋たちが負担すべき薬代を計算する大岡さま。
若先生が、先ほどのコントみたいなお裁きは一体なんでしょうと驚き呆れている。
入船亭扇辰師もさじ加減やるが、驚くほど違う。
多分出どころはどちらも三遊亭圓窓だと思うのだけど。
お裁きは示談で終わり、仕上げは大家との交渉。
大家が割らせた茶碗が物をいう。
これは井戸の茶碗なんだそうで。
ちなみに日本の話芸でもこうやってたけど、もしかすると直前の厩火事の皿とコラボするかなと思ったりもした。
頭下げた後で蝠丸師。
今16時30分です。私の持ち時間35分までと言われてきました。
なのでちょっと話します。
今のさじ加減っていう噺ですけど、聴いたことある方? あ、10人ぐらいですか。
最初にやった仙台高尾を聴いたことある方は? あ、少ないですね。誰のを聴いたでしょうか。
師匠の文治につけてもらったんですけど、一門でも引き継いだのは私だけなんですよ。
地噺ってのは難しいんです。まあ、脱線がメインで、好きなこと喋ってるだけなんですけども。
私11日から池袋でトリなので、よかったらお越しください。もしかしたら同じ噺やるかもしれませんが、やり方は変えますから。
いい男の落語協会代表は今日は扇遊アニさんでしたけど、多分別の人になります。
この芝落語会のお客さん、なんとなくですけどみなさん落語協会のファンじゃないですか?
そんな気がします。
芸術協会にもぜひ足を運んでください。面白い人多いですよ。
3時間のたっぷり公演でした。
実に満足。
蝠丸師の11日からのトリは、恒例の年末の芝居(12月中席)が円楽襲名に指し替わっちゃったので、その代償だと思う。
今月蝠丸師はもう一つ、練馬の桂文治一門会というものも考えた。
まあでも蝠分はたっぷり補給できたから、どうするだろう。