地震があってちょっと更新意欲が薄れ掛けたのだが、でもネタはあります。
そして現場へも行きます。
今月は配信をふたつ(産経らくご・神戸新開地喜楽館)聴いている。
来月はいろいろ予定があるのでいったんやめるが、9月以降また気が向いたら加入する。
産経らくごの配信では、三遊亭兼好師の独演会が聴けた。
私の大好きな、しかし演者の極めて少ない「汲みたて」を掛けていらして嬉しかった。出どころは雲助師かな。
ただ、これはいずれ現場で聴いた際にでも。
毎週火曜に更新される喜楽館の元気寄席を観たら、まんべんなく面白かったのでこれを。
| つる | かかお |
| 南海道牛かけ | 呂好 |
| 笠碁 | 福矢 |
| 金策幽霊 | 福笑 |
桂かかおさんはドレッドの22歳。小枝師の弟子。
まだ入門してもいない噺家の多い中、もう年季明けてるんだ。
旅(ヒッチハイクで岩手に行き、飛び込みで落語をする)のマクラで、素材は実に面白い。
ただ、客に伝わりきるまで我慢できないらしくて、ネタに早めに自分でツッコんでしまうのが残念。
本編に入る際にメガネを外す。私は萬橘方式と呼んでいるが、上方にも導入されているらしい。
本編、つるは古典落語らしい、いいテンポ。
笑福亭呂好師は、ひところラジ席寄席でよく聴いた。
ラジオでは「女風呂に好きと書いて呂好」と自己紹介しているのに、配信だとしない。逆では?
それともやめたのかな。小痴楽師も最近は、「小さく痴漢を楽しむ」って言ってない気がする。
徳島で平林をやってていた。定吉として、「なんやったかな。名前忘れてもうた」とつぶやいていたら、客席のおばあちゃんが近くまでやってきて、「平林さん」と教えてくれたというマクラは爆笑。
演目は実に珍しい、南海道牛かけ。
喜六清八の旅ものだが、東の旅ではなく和歌山の帰りにご難に遭うもの。
道に迷ってとんでもない地獄旅館に一分支払わされたあげく夜中に叩き出され、森の中で牛に乗った住民にまた騙されて一分取られ。
最後は民家でもって、男が女に刺されるのを目撃し。
旅に苦難がワンセットだった時代の空気が流れていていいなと思う。
地獄旅館を叩き出される際、「ピシャ」と口で説明しているのが地味に楽しい。
出てくるのがひどい人物ばかりなのだが、この人物たちに腹が立たないのが、演者の腕のなせるワザ。
実にもってサラッと語るから。
桂福矢師はまったく初めて聴くと思う。顔と喋り方から60代の人だと思っていたら、52歳でびっくり。
この人の力の入らない語りが大当たり。
よく聴くとちゃんとメリハリついてるのだけど、常に落ち着いたトーンのホームポジションに戻るのである。
ホームポジションから、必要がなければトーンを押さえ、しっかり上方ことばのアクセントで語るその口調が、桂千朝師に似ているなと。
マクラは、あまり仲良くしたくはない山口組のチンピラ話。
師匠の用事で大きな門の前をいつも通っていたが、向こうは監視カメラで見ているので、顔を知っていて銭湯で話しかけてくるのだ。
それから自営業者である落語家がいかに不動産屋の審査が難しいか。
上方落語協会という所属先だけでは、審査に通らない。
本編、笠碁は東京落語と同じ演出。菅笠を使ったお山は大山でなくて、能勢の妙見さまである。
「友情の決裂と回復」などという大層なテーマでないのも好き。
終盤仲直りしてから、「私ら二人以外はみなよそ行ってしもうて」というセリフだけは、軽くて重い。
トリは桂福笑師で、卑怯な新作。
この人だけ見台なし。
羽織から頭を落っことすという技を見せる。これがやりたくて羽織をまったく脱がなかったのだなと自白。
着物と羽織が合ってないし、なんだかサイズも合ってないし。
どこかで観たなと思ったら、瀧川鯉橋師が「首提灯」で頭を落っことす所作を入れていたなと。これはマジシャンのセロから来ているのだと、次に出た雷門小助六師が語っていた。
福笑師はまた独自に開発したのだろうか。たぶん羽織にワイヤーが入っている。
福笑師は、新作界隈では(東京でも)よく聴いている人がいるだろうが、私は初めてではないかな。
落語の幽霊は怖くないと。落語では笑いが必要なので。
お菊さんがいきなり訪ねてきて、招き入れるという架空の落語を話して、「怖くないやろ」。
それから浪曲の実演もやってみせる。浪曲も怖くない。
恨みを向けるいわれのない幽霊がいきなり現れる。
へっつい幽霊を引いているのか。
ふざけた幽霊に、肝の据わった親方が、「なんだかイラっと来る」と語っているのがメタ感にあふれて楽しい。
この配信、一部はぴあ落語ざんまいでも聴けるようですね。